○文字の表現「3.細かい文字」

 さて、『NET通信実技講座』の文字は正確に描くことができました。しかし、難しいのはここからです。京都アートスクールの住所やURL.は文字は非常に小さく、時間をかけての細密描写の課題でもない限り、すべての文字を識別可能な状態で描くことはできません。
 デッサンモティーフ上の文字は、識別可能な大きさで描けるものばかりとは限りません。文字の大きさや量の多さの関係で、すべてをしっかり描くことなく、曖昧な状態でありながら「文字が印刷されている」という状態を正確に表現しなくてはならない場合も多くあります。新聞紙や雑誌がモティーフとなった場合などがそうです。この場合、文字が文字として識別できる大きさである場合以上に高度な判断力が求められるといえるでしょう。どの程度まで描くべきかの判断が求められます。文字全体が「どのように見えているのか」を理解する力が求められます。

・全体の形を取ります。
図1
今回の場合、中央揃えのレイアウトがなされています。おおまかに左右対称であることを把握しましょう。
・だいたいの文字の並びのあたりをとります。
図2
パースに注意しましょう。
隙間に着目しましょう。

単語と単語の間には少し隙間がある。
art school of kyoto
URL.とメールアドレスの間にも当然隙間がある。
http://www.artschool.co.jp/  webmaster@artschool.co.jp
・大まかな形をとります。
図3
文字数を数えて、おおまかに割り出します。
※アルファベット、漢字、平仮名、片仮名など文字の種類や字体によって、また、それぞれの中の文字によっても文字幅には違いがあるので、微調整は必要です。
・大まかに白抜きされた文字枠に黒を入れてイメージを整えます。
図4
今回のモティーフのように黒地に白文字の場合、白抜きで表現するのが合理的ですので、全体を先に黒く仕上げておきましょう。
・完成
図5


レタリング技法のまとめ

原則
・全体から部分へ(枠組みを与えて、枠との関係で部分を配置)
・明解な部分から曖昧な部分へ(軸に対する平行線や垂直線を先に描き、曲線は後で描く)

ポイント
1文字ずつ描かないようにしましょう。大切なのは、文字全体の枠(つまり文字の乗った瓶や箱の面)に、文字中の水平線・垂直線の角度を合わせることです。文字が読めることよりも、文字のおおまかな印象が大切です。活版印刷らしさ、漢字らしさ、英字らしさを把握しましょう。


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