立体構成演習(基礎課題)
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問題   与えられた材料を用いて「空間の可視化」をテーマとした立体を制作しなさい。
     
    立体は、台紙の短辺を一辺とする立方体の範囲内で制作する。
下図を参照に、制作範囲を明らかにする直線をひくこと。

 
 手前
     
制作材料   板段ボール5枚
画用紙四つ切り(B3パネルに水貼りして台紙とする)
     
制作時間   6時間
     
制作用具   立体構成用具一式
     
課題の解説   立体構成 基礎課題

 立体は、表現のために与えられた空間の一部をなんらかの材料を用いて占めるという行為であるといえます。材質で占められた部分(立体、量)と、残った空間(空間、隙間)との対比関係による構成が立体構成であるといえます。その意味で、立体構成は、イコール空間構成でもあります。量と空間の対比で表現するのであれば、その両方が等しく重要なのですが、量(その材質自体にこだわる場合もあります)の方へ着目した場合は立体構成と呼び、空間(この空間は、残された空間を指すの場合と、表現のステージとしての空間全体を指すの場合がある)の方に着目した場合は、空間構成と呼びます。
 空間は、我々を常に取り囲んでいます。しかし、それ自体を観る(感じる)ことは少ない。ある種の自然環境や魅力的な建築空間の中にいる時、すぐれた彫刻や立体構成などを見る時などに、「空間自体」が感知されるのです。
 この課題では、板段ボールを用いて、台紙上の指定された空間を観ることのできるものにします。段ボール自体は素材としての魅力に乏しいものです。それをいかに魅力的に見せるという発想ではなく、段ボールを有効に用いることで、美しい空間を演出することを目指してください。

     
観察STAGE  様々な彫刻や立体作品、受験の立体構成作品を、立体と空間の対比関係という観点で見てみよう。身近に彫刻があれば、じっくりと見る。あとは書店にある写真集やNETで検索して見る。
受験の立体構成作品はナビの作例資料室で見るとよい。
     
発想STAGE  図と地のなりやすさを規定したゲシュタルト理論を参考にして考察します。
物を見る時、その周りには、必ず「空間」があります。実際に操作できるのは、立体ー段ボールです。段ボールをどのように扱えば、その回りの「空間」に視線を誘導できるか考えること。
     
構想STAGE  「空間を見せる」ということは、空間に観者の意識を誘導する訳で、極論すれば「立体を見せない」ということでもあります。実際には、立体を見せることで、その周辺の空間を同時に見せるのであり、空間と立体が矛盾する訳ではないのですが、今回の課題の場合は、素材感を強調することは不必要でしょう。
     
表現STAGE  構想ステージで述べたように、今回の課題では基本的に素材性は殺すべきです。段ボールのエッジなどの処理が甘いと、見る側が気になり、「段ボール」自体を見せることになるので注意しよう。
     
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