○明暗法の理解「描線による面表現」

2、立方体の表現   発泡スチロール立方体
 線による面表現を具体的な作例の中で見てみよう。以下は、発泡スチロールの立方体・円柱・球をボールペン、鉛筆、木炭で描いたものである。まずは、立方体だが、立方体のパースか各面の比例関係などの問題はひとまず措いて、この場合は3つの直交する直面によって構成された物体として見てほしい。直面は、平行に並んだ直線群に対して、別方向の平行に並んだ直線群を重ねることで表現できる。面の方向によって線の方向は決まってくる。基本的には、水平面は水平線、垂直面は垂直線を基本とする。後は、左右方向の動きを斜めの線で定義してやればよい。


 ボールペンによる表現
 ボールペンは、ドローイング素材である。塗りは不可能であり、線の幅もほぼ一定していることから、純粋に線表現を鍛えることができる。
 今回、ボールペンによるデッサンを求めたので、モチーフの性質をすべて表現する必要があった。すなわち面表現だけではなく、陰影の表現も同時に行う必要があった。面表現だけ純粋に行うのであれば、面は明るさにはかかわりなく存在するのであり、線の量は面の角度が一定であれば同じであるはずであるが、作品においては、明暗の表現も考慮して線の量に変化を与えている。手前面の下部などは机面からの反射光を表現しているが、線を減らすにあたって、減らす線のバランスの問題が発生している。この作品では、垂直線を相対的に減らし過ぎたために、斜線が目立ち過ぎてしまっている。バランスを欠いてしまったということである。

 鉛筆による表現
 前記した通り、鉛筆は基本的にはドローイング系素材であるが、ある程度塗り込み表現も可能である。この作品においては、色の印象、材質感の表現を考慮して、塗りとタッチを併用して表現している。
 モティーフによっては、線表現がまったく不適切であることもある。材質をよく観察し、その点を十分に考慮して描いてほしい。

 木炭による表現
 木炭は、塗り込み表現が基本である。立体感は、明暗(固有色・陰影)で表現する。


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